前回、居酒屋デートにて順調な滑り出しを見せたこの恋愛。
即日次のデートの約束を取り付けた主人公は、このデートで告白をすると決める。
まずはディナーで以前付き合った際の、初めてのランチデートと半年記念のディナーを食べたイタリアンを予約。
そしてそのあと、主人公のお気に入りの夜景が見えるドライブスポットまで行って、夜景を見ながらの告白。
完璧なプランだ。
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ここまでくるとよくぞやった自分という思いで、恐怖心より早く当たって砕けてしまおうという、なんだろう、変な潔さが前に出てくる。
だがしかし、もちろん入念に、抜かりなく準備をした上でデートには望む。
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さて、デート当日、主人公はZの自宅近くのコンビニへを迎えにいき、店へと向かう。
会話はもう完全に昔付き合っていた頃のような、日常の会話だ。
あっという間にお店に到着して昔よりもちょっぴり贅沢にディナーを楽しむ。
ように見せかける主人公。当たって砕けろとは言っても、中学生以来の告白なのでじっくり料理を味わうほどの余裕は持ち合わせていなかった。
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食事を終えて、ついにドライブ開始。
車で40分ほど走って夜景の見えるスポットを目指す。
プレイリスト、あの時と変わってないね。
とか言われちゃって、なんだ、覚えてるんだって嬉しくなったりする道中。
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そんなこんなで懐かし話をしながら運転していたら目的地に到着。
相変わらず美しい。
さて、どうしよう。
しばらくはさっきまでの会話の続きをしていたけど、主人公がもじもじしているのでさすがに空気が気まずい。
向こうは
どうしたの?
ってちょっとイタズラっぽくこっちを見て問いかける。
そんなイタズラっぽく言ってる場合じゃないとか半ばパニックになりながら、黙って袖を引っ張って手繋ぎを要請。
Z:あざといですね
とかなんか急に敬語で言われる。
そんな余裕かまさないでくれ。
主人公:緊張したぁ
って言ったら、
Z:もっとドキドキさせてあげようか?
って言われてなんかこれ、まずい流れではないだろうか。
絶対相手、チューしようとしてないか。
って察した主人公、心を決めました。今だ。
主人公:ちょっと待って、あの、私はまだZのこと好きだし、またやり直せたらなって思ってる。
Z:…
気まずい。
さっきまで余裕は何処へ。
ああ、多分これダメなやつだな。
うん、でも元々そういうつもりだったし、あるはずのなかったこのデートを2回もできただけで、私は満足だな。ありがとう。
これで気持ちの整理もつけられそうだ。
と、わずか数秒のうちで今回のことを振り返り終えようとしていた時、Zの重い口が開く。
Z:うん、俺も好きなんだけどさ、
また同じ結果になってしまうんじゃないかってね…。
ン?好きって言った?
まさかの答えに頭がショートしかけたけど、一旦頑張って工事して考え直して、なんとか口を動かす。
主人公:確かにそうかもだけど、お互い社会人になるし、その問題に関しては、直ぐに答えを出すんじゃなくて、またゆっくり向き合っていこうよ。
Z:うん…そうだね。
主人公:え、なに、うんてことは付き合ってくれるの?
Z:いいよ。
主人公:もうここで死んでもいいかも。
Z:いややめて。
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復縁って、こんな感じなの?
なんかすごくあっさりしていたようなでも頑張ったような。
とにかく気持ちも脳みそももう限界そうなので、運転の集中だけは欠かさないように、帰路につくことにした。
一旦お湯にでも浸からないと頭が破裂してしまう。
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帰りの車で何を話したかなんて覚えてはいない。
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振り返ってもあっさりだったなぁ。
当たって砕けるつもりだったから、そうならなかったことに動揺して震えていた記憶。
ここからどうしたらいいんだっけ。
で頭がいっぱいで嬉しいとかいう感情がついてきたのは随分と後のことでした。
長い復縁物語は始まったばかりな主人公だったのでした。
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これが茨の道の始まりって、信じたくないよね。
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